2016年6月5日日曜日

古い日記より ~初めてのリサイタルの記憶~ d'apres des vieux cahiers

 大学を卒業してすぐ、留学に向かう前に初リサイタルを行いました。これが2010年でして、6年前のちょうど今頃なんです。それを先程、思うところがありまして、その当時の自らの心境を記したブログを久しぶりに読み返してみました。タイトルは『6月18日の話』。

 ピアニストと呼ぶには程遠かった6年前に、それでも必死になって頑張っていた自分の姿を思い出し、"懐かしさ"と"新鮮さ"を感じると共に、当時の自分に力を分けてもらっています。
 そして当時の自分曰く。未熟と知りながら、何故その時分にリサイタルをしようと思ったのか。それは『「今、しなきゃいけない」と云う気持ちが、とても強かったから』なそうな。。。その判断は断じて正しかったと、今の自分は切に思います。

 今回はそのブログに、改行と句読点に多少の編集を加えつつも、文章・絵文字などには一切の変更をせず、当時のそのままの気持ちと雰囲気を残すべく、掲載します。



▼6月18日の話

前日から、気持ちの高ぶりのせいか、夜は2時間毎に目が覚める。
寝ているような、ずっと起きているような…

10時頃にはお腹が空いたので、予め買っておいた蕨餅を食べ、寝汗が激しかったのでシャワーをゆっくり浴びる。しばらく横になり、13時00分に準備開始。

14時00分くらいに学校に着き、食べたいものを食べる。
(確かカジキの照り焼き)

14時30分頃から、
少しのまやかし練習、

16時00分まで先輩方とだべり…


16時00分からは楽譜を読み始める、

この時、
まだまだ眠たし。

16時45分頃まで楽譜を読んだ後、

小雨の中会場へ…

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会場に着くと、ちょうど仲間のKが前に見える。

会場の方に挨拶をした後、少し嫌嫌ながら仕方なく、(アラウの教えによる)
調律師さん立ち会いのもと、 ピアノの試し弾きをする。


なんていい響きなんだ。
想定していたよりもずっと美しい響きが広がる。


楽屋にて、Kと世話話をしていると、親が早めに到着。
17時30分頃。

その後、お手伝いのMichiが到着し、 プログラムを折ってくれる。
17時40分

ダメだなぁと思いながらも、確認の誘惑によりピアノを触る。
(本番前に練習すると、本番のエネルギーを使ってしまう、だからよした方がいい…アラウ)

遅れて、この日の精神的補助、A氏が控室へ。
17時50分。

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17時57分


意外と長い待ち時間。

これから本当に自分が弾くのかと云う不思議な感覚に、
「お前のリサイタルだろがパー」と突っ込みを入れるK氏。


外は雨が強くなって来ている。
しかしそんな事を考えもせず、時計の針は進む。

18時10分。


会場の入りは、まだ8人程だろうか?話し声は聞こえない。
18時20分。

何やらザワザワとして来た、
みんな来てくれたんだ、ありがとう。


18時23分
K氏の「ここまで来たら楽しんでよ」との言葉を遮りトイレへ。


18時28分
そろそろ騒がしい、
これから俺が弾くんだ、
俺の、リサイタルなんだ。


そして、18時30分
当初の開演時間
この日は雨なので、予ベルをこの時鳴らす。


18時31分 控室に来客
(控室は直接外に繋がっているのですが…)


「ピザをお届けに参りました~~ニコニコ!」


……………………


ハッ(´Д`)!?!?!?!?

K氏が間違いだと話を付け、追い返す。
誰かの妨害作戦か(笑)!?



ズッコケのまま、

18時33分

早めのベル、


さぁ、本番だペンギン!!

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万雷の拍手
(そう聞こえた)

本当に感謝

どれだけ深くお辞儀をしても足りませんでした。
何人かの友達の姿を確認。中央にはAJ氏もきちんと発見。


バッハを弾く

終わり、袖にはける。

Kが控室に来て
「いい感じパー
と励ます。

お茶を一口、
ベートーヴェンに向かう。


ハプニングなんか関係ない。

今を大切に。


弾き終わり、

控室。

19時30分まで休憩と決める。

K氏とA氏と、今の演奏について話しながら、

「マズは次だよ」

と彼らは気持ちの方向を示してくれた。


19時30分
シューマン 謝肉祭


この時会場に入って来てくれた友人もきちんと確認、
中央右手には、河合楽器のF.Y.氏も見える。


感謝



シューマン 演奏


自由になる


終わり、袖にハケ、


お辞儀、


口上、


泣く。



皆に感謝。


全てに感謝。


そして今、遠い過去を思う、


「音を出した瞬間から、それはもう過去なのです」

AJ氏の言葉


そう、だから今、


私は生きなくてはいけない。


自分の出来る限り、


一生懸命に。