2017年4月29日土曜日

N°59 Jaén Piano Competition

 今回は≪第59回・ハエン国際ピアノコンクール≫について。
 スペインで、4月23日から約一週間にかけて行われたコンクールへの参戦記を記します。

▼今回のコンクールが行われた都市であるハエン市へは、大きな都市であるマラガから電車とバスを乗り継いで約5時間の場所にあります。直通のバスもあるのですが、朝の9時にある一本のみ。しかも今回は売り切れてしまって、ほかの交通手段を、現地で焦って調べ直す羽目になりました。Google先生ありがとう。

 現地へ着くと、久しぶりの再会が幾つもありました。
 一年前のコンクールで知り合った方や、どこかの講習会で見かけた方、ご一緒した方。そして、10年以上前に高校が一緒だった同級生との再会もあり、嬉しい驚きの連続でした。
 もちろん、各国から来る欧州人やロシア人やアメリカ人、そして、期間中に宿泊する部屋の同室の方などなど。新しい出会いも沢山ありました。頑張っている人達と会えると言う点は、コンクールの一つの良いところだと思います。

 あ、このコンクールのオーガニゼーションは異常に良くて、コンクール参加中の宿泊費はタダ。他にも、現金支給などの気前も良くて、そういった意味でもなかなかに魅力的なコンクールではあります。

▽さて、今回の自らの出番はあっという間に終わってしまったので、予選二次からは、他の参加者の方々の演奏を"ゼンブ聴くプラン"に強制変更。
 正直なところ今回は、予選三次までは絶対にいけるなぁと思っていたので、非常に悔しい思いをしました。悔しさの塊を呑み込む感覚。悔しいですね。今回は自分なりに良く弾けたし、審査員の評価も全く悪くなかったので、、、仕方がないですね。
 だから余計に、通ったやつはどんなもんやねん!って感じで聞いてきました。

 勿論、一次を弾くことと二次を弾くことでは、コンディションの違いはありますが、全体的には自分だって全然ここで戦えるよなぁと、思いつつ。。。でも、あんまりな演奏をされると、俺に弾かせろやって思いますね。むむむーー。。。誰にとっても本番は難しいですからね。仕方ない。

 しかしながら、三次のある方の演奏には、とても感じ入りました。
⇒実は今回は、ここからが本題。
 僕はその人の演奏を聴いて一人客席で号泣していました。今までこんなに音楽で感動した事はなかった。
 彼の演奏には、彼のやりたい音が満ち溢れ、それが若い情熱と融合され、【ピアニストという素晴らしい職業】を見事に体現していました。

 そんな彼の演奏は、僕にも多大な影響を与えたわけで。。
 きっと最初の悔しさがなかったら、このマインドの変化は訪れなかっただろうと思います。
 でもこの変化を感じ取れたという事は、自分の音楽にとって、また自分の生き方を考える上でも
、非常に意義深いコンクールとなりました。

 want toと共に生きる。
 have toやshoud beは必要条件ではあるけれども、それだけじゃ苦しい。want toが全てを前向きにしてくれる。

 自分がなにをしたいのか。どうなりたいのか。しっかりと胸に問うて、これからは、それに向かって突き進んでいきたいと思います。そして自分の中で、きっとそれが欠けていたものなんだと思っています。
 もっと自分のやりたいことを見つけたいし増やしたい!
 
そうすると、人生が少しずつ楽しくなってきている気がします:)
 

 


 

 




2017年4月6日木曜日

La porte ouverte ; L'âme ferme.

 実は最近、ブログのタイトルを少し変えました。
 ≪l'âme fermé≫ から≪l'âme ferme≫に変更したのですが、、、お分かりになりますでしょうか。。。うん、誰がそんなに細かく見てんねんって話ですね。自分に突っ込む事ほど空しい事はない。

 そう。ferméがfermeに変わったんです。

【Fermé】フェルメ

意味
❶閉じている事。お店などが閉まっている事。
❷閉鎖的な。近づきがたい。
熟語 les yeux fermé
①目を閉じて,目をつぶって,
②確認せずに,盲目的に,

 などなど。
 ですのでl'âme ferméは「閉じた心」とでもしましょうか。
 それを今回は次の言葉に変更しました。 

【Ferme】フェルム

意味
❶[中身が詰まって]堅い。引き締まった。
❷しっかりした。ぐらつかない。
❸[態度や気持ちが]確固たる。断固とした。ゆるぎない。

-ferme副詞

①travailler ferme 一生懸命働く
②discuter ferme 白熱した議論を戦わせる

 等々。
 よってl'âme fermeは「確固たる信念」とか「揺るぎない心」とかでしょうか。

 ferméもfermeも、雰囲気としては同じ雰囲気もありますが、核となる意味の方向性は全く異なるものですね。

 先日友人と話をしていて、これから真の音楽家として活動していく上で、その覚悟はあるのか。との問いを投げかけられたのです。そういう気概とか覚悟と言うのは、絶対に自分の音にも影響してきていて、友人には僕の中の曖昧な部分を指摘されたお思いでした。

 音楽家の核の部分として、音楽を伝えたい気持ちや、表現する気持ちを持つ。

 なので、ここでしっかりと自分の覚悟を示すうえでも、ブログのタイトルの変更することに致した次第です。


 

パリ講習会 à la cité univercitaire

 今回は、3月30日から4月2日にかけて行われたパリでの講習会について記します。

▼欧州では冬時間から夏時間に変わり、一気に日が昇っている時間が長くなりました。すると街の空気も春めいてきて、外でビールでも飲みたい気分になります。
 実際、町ではみんなカフェでビールを飲みながらお喋りを楽しんでいます。。。羨ましい。。。

 久しぶりのパリ訪問。
 パリに到着すると、やっぱりパリの匂いがします。街を歩くと、ブリュッセルとは違うパリの草木の香りが漂ってきて、とても懐かしい気持ちになります。一方で、地下鉄や高速鉄道の、パリにいらした事のある方ならお馴染みのodeurも、ノスタルジックな気分にさせてくれます。

▽今回の目的は講習会です。教鞭を取られたのは菅野潤先生。
 潤先生はパリ在住の日本人でありまして、お顔にはいつも柔らかい笑顔を湛えていらっしゃるのですが、武士のような雰囲気を纏われている紳士であります。
 この講習会には、世界で活躍する多くの日本人ピアニストが参加していました。それもこれも、菅野先生の御人徳の賜物と思います。

 さて、今回の講習会で僕は、ショパンのノクターンop.56を見てもらいました。
 レッスンでは先生が手本を見せる為に、度々、弾いて聞かせてくれる事もあるのですが、それを録音を聴いてみると、自分と先生の音の違いにしょんぼりしてしまいます。それほど美しく自然な音楽を先生は教えて下さります。
 特に今回は、体の使い方によって音の伸び方が変わる事や、フレーズ始まりのタッチの仕方など。とても勉強になりました。参加されていた方々も、一人残らずお上手で、大変に刺激を受けました。

 レッスンが終わると、先生を含めてパリの街に繰り出し、美味しいパリご飯を頂き、そして毎晩のように二次会に行っては酒を飲むという。とても楽しいひと時でした。


 パリでの講習会が終わり、ブリュッセルに帰ると、また違う講習会が始まります。始まっていますなう。こうして集中して講義を受けると、いつも新しい可能性が見えてきます。どんどん新しい領域に自分を置けることを、とても嬉しく思います。自分の理想を高めるためにも、どんどん成長していきたいです。