2017年9月20日水曜日

Jose Iturbi Piano competition (XX VALÈNCIA INTERNATIONAL PIANO COMPETITION ITURBI AWARDS 2017)

 今回はスペイン・バレンシアで行われたコンクール【ホセ・イトゥルビ】への参戦記録を記します。

▼秋の気配も迫るブリュッセルから飛行機に乗って二時間。九月のスペイン・バレンシアは夏真っ盛りでした。

 道行く人は当たり前の如くに皆半袖。
 ブリュッセルから来た僕は、革ジャンの中にカーディガンを羽織るという重装備。
 同じヨーロッパ大陸なのにここまで違うものかと、南の国に行くと毎回驚かされます。

 さて、今回のコンクールには予備予選が付いていて、22名のピアニストが選出されました。この発表が七月の末だったので、概ねの準備期間は一か月強。うん、僕、けっこう頑張りました。

 一次予選の課題であるショパンの夜想曲やマズルカは、全く手の付けたことのない領域であったし、他にも新曲課題があったり、その中でファイナルまでの曲をしっかり仕上げていく作業は、なかなかに刺激的なものでした。マズルカだけを7時間練習した日とかもあったなぁ。
 勿論その中での気付きや、新しい試み、精神面での考え方、一人の音楽家としてどう訴えるのかなど、沢山の成長が感じられる素晴らしい期間でした。こういう準備期間が味わえるのって、最高に幸せだと思います。
 また、本番が近づくにつれて、友人に何回も何回もアドバイスをもらい、自分の盲点になっていた部分に光を当ててもらう事も出来ました。

 そうした準備を経て迎えた当日の演奏も、"自らのすべてを音楽の神様に捧げます"と言う信念のもとに、やりたい事を伝える演奏が出来たと思います。
 残念ながらセミファイナルには届きませんでしたが、審査員の方からもお話を伺うことができ、複数の方から「僕は君に投票したよ」とか、「もっと演奏を聴きたかった」と言うお声を頂けて、少しだけホッとしています。
 あと「とても知的な演奏だ」とか「弾き始めてすぐに興味深いピアニストだと分かる」などのお言葉も。。。忘れないように太文字で記しておきます。

 そして、これはスペインの良いところだと思うのですが、僕の演奏を聞いてくれた御老人の方から「凄く良かった」と話しかけられたり(しかし容赦のないスペイン語攻撃!!)
「写真より実物の方がいい男ね」と言われたり(通訳有)、本当に温かい聴衆に見守られていて幸せでした。

 さぁ、収穫は沢山ありましたが、ここで自らの成長を止めるわけにはいきませぬ。
 もっともっと成長して、もっともっと、あなたのことが大切だと云う事を伝えられるピアニストに、僕はなりたい。そのヒントは、このコンクールの準備期間の中にあったし、そして本番を終えたいま、新しい課題も見えています。それを解決する意欲と少しの手掛かりも掴んでいる。

 この問題を解決したら今の何倍も、気持ちを伝えられるピアニストになれる気がしています。そうなっている自分が、今からとっても楽しみです。

 最後に改めて、今回の僕のコンクールの準備を助けてくれた最高の友人と、いつも応援してくれる同居人、現地で支えてくれた調律師さん、聴衆の方々、審査員の方々に感謝を捧げます。