2017年12月5日火曜日

十一月一日のこと

 日本へ戻ってから、既に一か月が経過しました。なんだか日にち毎日がとても長く感じる今日この頃。
 そんな今回は、帰国の前日から、日本到着の当日までのお話。個人的な日記。


▼ブリュッセルでのリサイタルを終えると、翌日は住んでいたマンションのお引越し。
 思いのほか荷物が多く残っていて、朝から晩まで荷造りやら、ソファの売り出しやら、ベッドをマンションの前に置いたり、それまで使っていた食卓を置いたりやらで、まったく最後の日を満喫することは叶いませんでした。

 同居人曰く、「普通に生活できる環境だったのがおかしい」そうです。
 たしかに快適に暮らしていました。
 
↑「ベッドを外に出したり...」で驚かれる方もいらっしゃると思いますが、これが欧州流の有効な解決策。
 マットレスを三つ外に出しておいたのですが、一時間も経たない間に、新しい持ち主の方に拾われていきました。(ダブルベッドのマットレス・シングルマットレス薄andぶ厚いやつ)
 食卓も然り。壊れていないかだけを確かめて、担いでいかれるのを目撃しました。こういう欧州の文化と風土、僕は大好きです。

 さて、程なくして後片付けも終わり、最後は鍵を返す儀式。
 代理人さんに鍵を預け、同居人と二人で一泊する部屋へ。
 さすがに、感じ入るものがありました。僕の成長を支えてくれた部屋、素晴らしい出会いと楽しさの詰まった、最高の場所でした。愛しています。

 旅立ちに別れはつきもの、荷物を置いた後は、最後の別れを惜しんでくれる友達と合流。夜中の23時。腹ペコでありついた最後の晩餐は、欧州名物のケバブでした。
 これがおいしかった!!また食べに行きたいです:)

▽明けて翌日はいよいよ飛行機です。
 空港や飛行機の中では、素敵な出会いもありました。
 ロビーでは、欧州では御旅行にいらしていた二人のご婦人とお話を楽しみました。そこで感じたのは、いつの間に自分はこんなにジェントルマンになったのだろうと。ヨーロッパに染まりましたね。笑
 
 また機内でご一緒したご婦人は、クラシック音楽を嗜まれる方でいらして、今回の御旅行でも、イタリアの音楽祭に訪れられたとのことで、とても愉しいお話を聞かせていただくことが出来ました。
(あ。もしこのブログを読んでいたら、連絡くださいね!直接コンサートのお知らせなどをお知らせいたします:))

▽さて、13時間程度のフライトを終えて、いよいよ日本へ上陸。
 荷物を置いて向かった先は、フランスのパリ時代にお世話になったBilly・EIDI先生が東京で行っている講習会。なんと先生が偶然に東京にいらしている時期と、自らの帰国日程が重なり、まさかの日本での再会を果たすことが出来ました。

 先生に教わっている生徒さんは、みなさん素晴らしい方ばかりでした。
 これは少しでも帰国風を吹かせていたら、どんどんみんなの成長に置いて行かれるなと思わせてくれました。みなさん素晴らしい!! 
 でも、改めてBilly先生のピアノの音色を聴くと、その格別に美しい音色にゾワゾワさせられました。


 下の写真は、そんな素晴らしい中でも、パリ同期のあさこちゃんと、講習会でご一緒したあやねちゃんと、先生と僕。








 

 

 

2017年11月13日月曜日

Aprés "La porte ouverte;l'âme ferme" コンサートの話

 今回は、ブリュッセルのAtelier Marcel Hastirで催した演奏会"La porte ouverte;lâme ferme"の記録を記します。


▼ブリュッセル生活の終盤も終盤。もはや日本帰国の二日前と言う土壇場に、コンサートを催すことが出来ました。(帰国が31日、リサイタルは29日)

 実は、今回のリサイタルを計画したのが、リサイタルの約三週間前
 それまでも、会を催すための場所は常に探していたのですが、なかなか良い会場が見つからずに苦労をしていました。
 
「留学生活の最後に、リサイタルを開きたい。自分の総括として、そして感謝の思いとしても、最後に形にしたい」
 そう言った気持ちが繋がったのだと思います。リサイタル準備としてもギリギリの段階で、今回の会場を友達から知ることが出来たことが、素晴らしい縁を紡ぐきっかけでありました。
 会場を知った次の日には下見に赴き、その翌日には予約の手続きをしました。

 会場を予約してからは、沢山の引越し手続きを進めながら、また同時に、ピアノを売却したために自宅で練習が出来なくなるなど、今までの環境とは違う中での準備となりました。しかし、そのような状況かだからこそ、新しい挑戦になると思い、すべての準備を整えていきました。


▽本番当日。
 準備期間が短かったこともあり、集客に力を割けなかった事を悔やんでいました。なので当初の僕の予想としては、友達が10人も来てくれたら御の字と覚悟していました。
 しかし蓋を開けてみれば、予想を上回る方々においで頂くことが出来ました。
 そのうちの御一組は、なんと遥々オランダからいらしたとのこと。驚き、感激しました。

 しかしこれは、ゆめ、僕自身の力ではありませぬ。これはヨーロッパが脈々と育ててきた、文化へ対する尊敬の念のたまものです。そうでなければ、どうして僕のような無名の日本人ピアニストの演奏などへコンサートに足を運びましょうか。

 深い感動はまた、主催者の責任として、僕に根を下ろしました。
 つまり、、、、、ちょっとビビッて半泣きでした。笑
 だって当日まですごく大変だったんだもん。当日も前日も、諸事情で練習できなかったしね。
 そんな時に、僕を勇気付けてくれたチエちゃん、そして武田さん。深く感謝します。本当に元気が出ました。


▽さて、そんな風にビビりつつも、舞台が始まってしまえば完遂するのが私なわけであります。
 今回は新しい挑戦の一つとして、曲間に少しお話を挟むという挑戦をしたのですが(フランス語で!!)、それも軒並み好評。練習した甲斐があるってものです。
 どの曲も好評だったわけですが、その中でもF.LisztBénédiction de dieu dans la solitudeは、みなさんに特に喜んでもらえたようで、とても嬉しく思います。
 やっぱりこの曲は、僕にとっても特別ですね。


▽下の写真は、本番後の親睦会にて。音楽家として生きていく土台を作ってくれた恩師。
 後日談として友達から伝え聞いた話。
 先生が、「昨日は特別なコンサートだったと嬉しそうに話していた」と教えてくれました。

 また必ずブリュッセルでコンサートをします。
 このコンサートを、十年続けます。



 


 

2017年10月15日日曜日

La porte ouverte;l'âme ferme

Comme je vous ai informé, je déplace mon base d'activité au Japon.
Mais just avant que je dis au revoir à Bruxelles,Je organise un concert !!

Ce sera le 29 Octobre à la Atelier Hastir.
Venez nombreux :)))

Atelier marcel hastir





2017年10月9日月曜日

活動の拠点を日本へ

 7年間の留学期間を経て、日本での活動を開始します。
 

▼パリに三年間。ブリュッセルに引っ越してから四年間。留学当初は、こんなに長い期間も留学するなんて考えてもいませんでした。流れ流れて、七年間。

 今は、すべての選択が正しかったと確信しています。この選択をしていなかったら、僕は音楽の楽しさを知らなかった、知らずに終わっていたかもしれない。特に最後の二年は、僕にとって最高に成長を感じる事の出来る二年間でした。でも、もっともっと成長したいです。

 音楽家としてもっと成長するために、だから今までと違う試みをするために、僕は日本へと拠点を移します。
 日本では大・中・小のコンサートを積極的に催して、この西洋音楽芸術の聞き方と聴き方について、特に今現在クラシック音楽に興味がない方に向けての発信を、行っていきたいと考えています。もちろんクラシック音楽が好きな方にも、より音楽を楽しんでもらえる内容の会を催します。

 一方で、自分が吸収してきた知識と体験を、ピアノが上手になりたいと思っている人たちに伝えていきたいとも思っています。
 楽譜に書かれている情報の読み解き方と、それを表現していく技術。そして成長をしていくための考え方を、僕は学んできました。勿論これから自分自身も、猛烈激烈に成長を続けていきますが、みんなも一緒に成長を出来たらいいな。

 具体的な帰国は、10月31日発の飛行機に乗り、翌日の11月1日に東京着です。
 少しだけ東京に滞在して、日本での活動の準備をするので、もしも会ってくれる人がいたらうれしいなぁ。12月にはまた東京での仕事もあるし、なんだかんだで往来しますけどね。

 とりあえず帰国まであと僅かですが、ブリュッセルでコンサートを催したり、でもお引越しをしたりと、チャレンジングな日々を送っていきます!

(あ、あと帰国後に誰か弦楽五重奏やりませんか?←地味に募集中です)


2017年9月20日水曜日

Jose Iturbi Piano competition (XX VALÈNCIA INTERNATIONAL PIANO COMPETITION ITURBI AWARDS 2017)

 今回はスペイン・バレンシアで行われたコンクール【ホセ・イトゥルビ】への参戦記録を記します。

▼秋の気配も迫るブリュッセルから飛行機に乗って二時間。九月のスペイン・バレンシアは夏真っ盛りでした。

 道行く人は当たり前の如くに皆半袖。
 ブリュッセルから来た僕は、革ジャンの中にカーディガンを羽織るという重装備。
 同じヨーロッパ大陸なのにここまで違うものかと、南の国に行くと毎回驚かされます。

 さて、今回のコンクールには予備予選が付いていて、22名のピアニストが選出されました。この発表が七月の末だったので、概ねの準備期間は一か月強。うん、僕、けっこう頑張りました。

 一次予選の課題であるショパンの夜想曲やマズルカは、全く手の付けたことのない領域であったし、他にも新曲課題があったり、その中でファイナルまでの曲をしっかり仕上げていく作業は、なかなかに刺激的なものでした。マズルカだけを7時間練習した日とかもあったなぁ。
 勿論その中での気付きや、新しい試み、精神面での考え方、一人の音楽家としてどう訴えるのかなど、沢山の成長が感じられる素晴らしい期間でした。こういう準備期間が味わえるのって、最高に幸せだと思います。
 また、本番が近づくにつれて、友人に何回も何回もアドバイスをもらい、自分の盲点になっていた部分に光を当ててもらう事も出来ました。

 そうした準備を経て迎えた当日の演奏も、"自らのすべてを音楽の神様に捧げます"と言う信念のもとに、やりたい事を伝える演奏が出来たと思います。
 残念ながらセミファイナルには届きませんでしたが、審査員の方からもお話を伺うことができ、複数の方から「僕は君に投票したよ」とか、「もっと演奏を聴きたかった」と言うお声を頂けて、少しだけホッとしています。
 あと「とても知的な演奏だ」とか「弾き始めてすぐに興味深いピアニストだと分かる」などのお言葉も。。。忘れないように太文字で記しておきます。

 そして、これはスペインの良いところだと思うのですが、僕の演奏を聞いてくれた御老人の方から「凄く良かった」と話しかけられたり(しかし容赦のないスペイン語攻撃!!)
「写真より実物の方がいい男ね」と言われたり(通訳有)、本当に温かい聴衆に見守られていて幸せでした。

 さぁ、収穫は沢山ありましたが、ここで自らの成長を止めるわけにはいきませぬ。
 もっともっと成長して、もっともっと、あなたのことが大切だと云う事を伝えられるピアニストに、僕はなりたい。そのヒントは、このコンクールの準備期間の中にあったし、そして本番を終えたいま、新しい課題も見えています。それを解決する意欲と少しの手掛かりも掴んでいる。

 この問題を解決したら今の何倍も、気持ちを伝えられるピアニストになれる気がしています。そうなっている自分が、今からとっても楽しみです。

 最後に改めて、今回の僕のコンクールの準備を助けてくれた最高の友人と、いつも応援してくれる同居人、現地で支えてくれた調律師さん、聴衆の方々、審査員の方々に感謝を捧げます。




 


 


2017年7月25日火曜日

Le son continu

 今回は、フランスの革命記念日(7月14日)の前後に渡って開催される、フォークダンスとドローン楽器の祭典である"Le Son Continu"へ参加した思い出を記します。一番下にも動画を一つ貼っておきます。 http://www.lesoncontinu.fr/

▼"フォークダンスとドローン楽器の祭典"と言っても、それだけを聞いてピンと来る方は、もうそれだけで相当な物好きさんではないでしょうか。失礼。いや、かく言う僕は、このLe Son Continuに参加するのは初めてでありまして、当地に赴くまで何が行われる祭典なのかを理解していませんでした。

 まず、ドローン楽器とは何か。この種の楽器で最も有名な楽器は、このお祭りの象徴にもなっている"バグパイプ"です。あのブオーと言う低い音が鳴り続けている楽器が、このドローン楽器と呼ばれる楽器群です。他にも、ハーディガーディと言う楽器などがあります。

 そしてフォークダンスは、よく知られているところだとマイムマイム等でしょうか。大勢の老若男女が、音楽に合わせて一緒になって同じダンスを踊ります。
 マイムマイムのように簡単な踊りから、ワルツ・マズルカ・スコティッシュダンス。ブーレ(Bourrée)のような難易度の高いダンスや創作ダンスなど、幅広いダンスを体感できます。
 難易度の高いダンスは、始まる前に簡単なレクチャーがありますが、それこそフランス語なので、そっちの方が難易度高め。あとは踊っている人のステップを凝視して覚えていきます。←ほとんどこれ

 フォークダンスはフランス文化の一つらしく、夏になると各地でダンスのイベントが催されます。Bal folkで調べると日程が出てきます。

▽開催されたchâteau d'arsはパリから電車で二時間・バスで四時間程度に位置するChateauroux駅に赴き、そこから車orバスで40分程の場所にあります。宿泊施設は用意されておらず、近くに用意されたキャンプ場にテントを張るか、もしくは車で20分ほど行けば宿泊施設があります。(隣町)

 僕にとって初めてのキャンプ体験でしたが、同行した人のアドバイスもあり、楽しい体験となりました。
 キャンプ場には仮のトイレとシャワーも設備されており、衛生面でも悪くはありませんでした。でも一度だけ、シャワーのお湯が途中も途中で水となり。。。

▼ドローン楽器の祭典と言う事もあって、会場となった森には130を超えるお店が出ていました。
 さきほど紹介したバグパイプから、オカリナ・木製のハープと言った楽器、そしてアコーディオン・ハーディガーディやタンブランと言う打弦楽器など。昔ながらの楽器に出会うことが出来ます。
 そのお店の前では、即席でセッションをしたりワインを飲んだりと、各々が心から音楽を楽しんでいる様子が印象的です。僕もいつか、この輪の中に入るんだ。

▽他方で、森を抜けるとお城があり、その周りには多数の出店と、ダンスをするためのステージが5つ設けられています。(一つは森の中)

 皆でステップを踏み、足を踏み鳴らし、手を打ち鳴らし、廻り、揺れ、目と目を合わせ微笑み合う。(たまに、「え、アジア人だ」と、お顔が凍られる方もいます(笑))
 老いも若きも関係なく。いやむしろ、お年を召した方のほうが熟練のステップや回転を披露されていて、文化の深さを感じます。本当に素晴らしかった。

 大勢で手を繋ぎながら進行し、節毎に相手が代わっていく踊りもあるのですが、初心者の僕は、ステップを間違えないように慣れるまでがドキドキ。どぎまぎ間違えながらも、と言うかみんなと一緒に間違えながら、楽しくステップを踏みました。

▽あっという間に過ぎ去った三日間の滞在。
 音楽を"体感する"素晴らしさを感じることが出来て、本当に良かった。そして演奏者をはじめ、参加している誰もが"生きている実感"と"幸せ"を感じていて、間違いなく僕の人生を揺り動かす経験になりました。
 どうにかして来年も参加したいし、そしてアコーディオンが買いたいです(笑)

Le son continu ≪低温で鳴り続けつづける持続音≫ ≪響き続ける音≫

https://www.youtube.com/watch?v=AC3NAkbH0-w
https://www.youtube.com/watch?v=kDLac8DY-x4




2017年7月8日土曜日

Concurso International de Piano de Valencia PREMIO ITURBI 2017

http://www.pianoiturbi.com/es/report/pianistas-seleccionados

N°55 International Piano Concours Arcangelo Speranza

 沢山の呪縛から解き放たれる時。その時には特殊なことが起こるのかもしれない。
 今回は、昨年に続き再び訪れたイタリア南部の町"Taranto"で行われたコンクールの思い出を記します。

▼振り返ってみると、出発の朝からミニミニ・ハプニング続きでした。
 いつものようにBruxelles Gare Midiへと自転車で向かったのですが、駅の近くの駐輪場はいっぱい。違う場所にある最寄りの駐輪場を調べてへと急いで向かい、駅に着いたのは予定時刻の数分前。重い荷物を抱えながらダッシュで切符を買って、息を切らしながら電車へと駆け込みました。

 あ、空港についてからは受付カウンターを間違えて、ロビーの端から端を移動したなぁ。

 今回はナポリ経由でタラントに赴きました。
 移動時間は飛行機2時間+電車5時間の約7時間。電車の中は、荷物に注意しつつ、爆睡でした。。。長かったなぁ。。。

 さて、タラントについてホテルにチェックイン。
 おもむろにコンクールのFBをチェックすると、なんだか既にコンクールが始まっている模様。参加者の写真や、審査員の方々の写真が更新されていて、「どゆこと!?」という謎の衝撃に襲われたわけでございました。

 よくよく調べてみると、コンクールスケジュールが何故か二つ書いてあって、本当の一次予選はすでに始まって終わっていると言う。。。まぁ、その時は動揺が激しかったですね。

 急いで事務側に連絡をして、翌朝に、一次試験を受けることが出来ると言う決定をしていただきました。オーガナイズ側の不備だという事で謝罪もされて、とても誠意を以って対応していただきました。
 と言ってもね。その夜は興奮してしまって徹夜。そして、上の決定がなされたのは翌日の早朝の出来事だったので、仮眠を少し取ってから、お昼に一次試験を弾いたわけです。

 そんなこんなで一次を弾いたわけですが、嬉しいことに一次を突破!!
 これまで沢山の悔しい思いをしてきたので、とても嬉しい結果となりました。

 一次の後、その日の夜に二次を弾くという強行日程。その間の時間は、正直ヘロヘロでした。
 練習室として提供されているおじいさんのお宅で疲れている表情をしていると、親切にもビタミン飲料を作っていただいて、とても染み入りました。

「テニスをする時に僕はこれを必ず飲んで、、ムキムキだよー」 
みたいなと事を言ってました。おじいちゃんは元気です(笑)

 そして二次へ。
 どうなるかと思いましたが、自分なりの演奏が出来て、友達と何人かのお客さんに「感動した」と言われて、そう感じてもらえたことが非常嬉しくく思いました。 

 日本人の新しい友達とも出会え、結果もついてき始めた今回は、とても実りの深いコンクールとなりました。

 

2017年4月29日土曜日

N°59 Jaén Piano Competition

 今回は≪第59回・ハエン国際ピアノコンクール≫について。
 スペインで、4月23日から約一週間にかけて行われたコンクールへの参戦記を記します。

▼今回のコンクールが行われた都市であるハエン市へは、大きな都市であるマラガから電車とバスを乗り継いで約5時間の場所にあります。直通のバスもあるのですが、朝の9時にある一本のみ。しかも今回は売り切れてしまって、ほかの交通手段を、現地で焦って調べ直す羽目になりました。Google先生ありがとう。

 現地へ着くと、久しぶりの再会が幾つもありました。
 一年前のコンクールで知り合った方や、どこかの講習会で見かけた方、ご一緒した方。そして、10年以上前に高校が一緒だった同級生との再会もあり、嬉しい驚きの連続でした。
 もちろん、各国から来る欧州人やロシア人やアメリカ人、そして、期間中に宿泊する部屋の同室の方などなど。新しい出会いも沢山ありました。頑張っている人達と会えると言う点は、コンクールの一つの良いところだと思います。

 あ、このコンクールのオーガニゼーションは異常に良くて、コンクール参加中の宿泊費はタダ。他にも、現金支給などの気前も良くて、そういった意味でもなかなかに魅力的なコンクールではあります。

▽さて、今回の自らの出番はあっという間に終わってしまったので、予選二次からは、他の参加者の方々の演奏を"ゼンブ聴くプラン"に強制変更。
 正直なところ今回は、予選三次までは絶対にいけるなぁと思っていたので、非常に悔しい思いをしました。悔しさの塊を呑み込む感覚。悔しいですね。今回は自分なりに良く弾けたし、審査員の評価も全く悪くなかったので、、、仕方がないですね。
 だから余計に、通ったやつはどんなもんやねん!って感じで聞いてきました。

 勿論、一次を弾くことと二次を弾くことでは、コンディションの違いはありますが、全体的には自分だって全然ここで戦えるよなぁと、思いつつ。。。でも、あんまりな演奏をされると、俺に弾かせろやって思いますね。むむむーー。。。誰にとっても本番は難しいですからね。仕方ない。

 しかしながら、三次のある方の演奏には、とても感じ入りました。
⇒実は今回は、ここからが本題。
 僕はその人の演奏を聴いて一人客席で号泣していました。今までこんなに音楽で感動した事はなかった。
 彼の演奏には、彼のやりたい音が満ち溢れ、それが若い情熱と融合され、【ピアニストという素晴らしい職業】を見事に体現していました。

 そんな彼の演奏は、僕にも多大な影響を与えたわけで。。
 きっと最初の悔しさがなかったら、このマインドの変化は訪れなかっただろうと思います。
 でもこの変化を感じ取れたという事は、自分の音楽にとって、また自分の生き方を考える上でも
、非常に意義深いコンクールとなりました。

 want toと共に生きる。
 have toやshoud beは必要条件ではあるけれども、それだけじゃ苦しい。want toが全てを前向きにしてくれる。

 自分がなにをしたいのか。どうなりたいのか。しっかりと胸に問うて、これからは、それに向かって突き進んでいきたいと思います。そして自分の中で、きっとそれが欠けていたものなんだと思っています。
 もっと自分のやりたいことを見つけたいし増やしたい!
 
そうすると、人生が少しずつ楽しくなってきている気がします:)
 

 


 

 




2017年4月6日木曜日

La porte ouverte ; L'âme ferme.

 実は最近、ブログのタイトルを少し変えました。
 ≪l'âme fermé≫ から≪l'âme ferme≫に変更したのですが、、、お分かりになりますでしょうか。。。うん、誰がそんなに細かく見てんねんって話ですね。自分に突っ込む事ほど空しい事はない。

 そう。ferméがfermeに変わったんです。

【Fermé】フェルメ

意味
❶閉じている事。お店などが閉まっている事。
❷閉鎖的な。近づきがたい。
熟語 les yeux fermé
①目を閉じて,目をつぶって,
②確認せずに,盲目的に,

 などなど。
 ですのでl'âme ferméは「閉じた心」とでもしましょうか。
 それを今回は次の言葉に変更しました。 

【Ferme】フェルム

意味
❶[中身が詰まって]堅い。引き締まった。
❷しっかりした。ぐらつかない。
❸[態度や気持ちが]確固たる。断固とした。ゆるぎない。

-ferme副詞

①travailler ferme 一生懸命働く
②discuter ferme 白熱した議論を戦わせる

 等々。
 よってl'âme fermeは「確固たる信念」とか「揺るぎない心」とかでしょうか。

 ferméもfermeも、雰囲気としては同じ雰囲気もありますが、核となる意味の方向性は全く異なるものですね。

 先日友人と話をしていて、これから真の音楽家として活動していく上で、その覚悟はあるのか。との問いを投げかけられたのです。そういう気概とか覚悟と言うのは、絶対に自分の音にも影響してきていて、友人には僕の中の曖昧な部分を指摘されたお思いでした。

 音楽家の核の部分として、音楽を伝えたい気持ちや、表現する気持ちを持つ。

 なので、ここでしっかりと自分の覚悟を示すうえでも、ブログのタイトルの変更することに致した次第です。


 

パリ講習会 à la cité univercitaire

 今回は、3月30日から4月2日にかけて行われたパリでの講習会について記します。

▼欧州では冬時間から夏時間に変わり、一気に日が昇っている時間が長くなりました。すると街の空気も春めいてきて、外でビールでも飲みたい気分になります。
 実際、町ではみんなカフェでビールを飲みながらお喋りを楽しんでいます。。。羨ましい。。。

 久しぶりのパリ訪問。
 パリに到着すると、やっぱりパリの匂いがします。街を歩くと、ブリュッセルとは違うパリの草木の香りが漂ってきて、とても懐かしい気持ちになります。一方で、地下鉄や高速鉄道の、パリにいらした事のある方ならお馴染みのodeurも、ノスタルジックな気分にさせてくれます。

▽今回の目的は講習会です。教鞭を取られたのは菅野潤先生。
 潤先生はパリ在住の日本人でありまして、お顔にはいつも柔らかい笑顔を湛えていらっしゃるのですが、武士のような雰囲気を纏われている紳士であります。
 この講習会には、世界で活躍する多くの日本人ピアニストが参加していました。それもこれも、菅野先生の御人徳の賜物と思います。

 さて、今回の講習会で僕は、ショパンのノクターンop.56を見てもらいました。
 レッスンでは先生が手本を見せる為に、度々、弾いて聞かせてくれる事もあるのですが、それを録音を聴いてみると、自分と先生の音の違いにしょんぼりしてしまいます。それほど美しく自然な音楽を先生は教えて下さります。
 特に今回は、体の使い方によって音の伸び方が変わる事や、フレーズ始まりのタッチの仕方など。とても勉強になりました。参加されていた方々も、一人残らずお上手で、大変に刺激を受けました。

 レッスンが終わると、先生を含めてパリの街に繰り出し、美味しいパリご飯を頂き、そして毎晩のように二次会に行っては酒を飲むという。とても楽しいひと時でした。


 パリでの講習会が終わり、ブリュッセルに帰ると、また違う講習会が始まります。始まっていますなう。こうして集中して講義を受けると、いつも新しい可能性が見えてきます。どんどん新しい領域に自分を置けることを、とても嬉しく思います。自分の理想を高めるためにも、どんどん成長していきたいです。
 



 



 







   

2017年3月24日金曜日

F.Liszt Bénédiction de Dieu dans la solitude


蕾が花開くように

 なんとも久々の更新です。
 この二か月間、まさか何もなかった訳はなく、ただただ自分の怠惰に任せて、ブログの更新を怠っておりました。なんたること!!
 今回は、この二か月の間に新たに挑戦したことや、ピアノについて気付いたことについて記します。

▼実は、二月の始め頃から、大変な高熱を出して寝ておりました。ちょうどコンクールから帰ってきた後だったので、もしかしたら疲れている隙をやられたのかもしれません。
 高熱は何日間にも及び、初日は39.4℃まで上がり、その後は四日間ほど38℃台に苦しみました。そして熱だけならまだしも、耳周りのリンパ節の腫れが著しく、お薬で何とか菌を殺すような風邪でした。熱が下がった後も咳が残ってしまい、つい先日まで咳は続いていました。
 まぁ今年はこれで、風邪の引き収めにしてもらいたいものです。

▽しかし怪我の功名とでも言うのでしょうか。風邪をひいて良かった事も、実はありました。
 この高熱では、さすがにピアノの練習は出来ませんので、療養中はお布団の中でうなされながらも、いろいろな事をゆっくりと考えることが出来またした。そしてその中で、ある貴重な気付きを得ることが出来たのです。

 長い間、僕は「音を聴く」と言う概念について、はっきりとした定義付けをする事が出来ずに苦しんでいました。
 それが、布団の中で、ある意味では自由に、頭を巡らせているうちに、いきなり理解できたのです。さながら、死に瀕した仏陀がスジャータに命を救われ、そして沐浴の後の瞑想に入った際に、悟りを開いたような、そのような感覚でした。(大袈裟?)
 この新しい概念は、自分の演奏レベルを新しい段階にまで押し上げてくれる、とても大切な気付きと確信しています。そして現に、僕の演奏は一新されました。

▽そんな新しい感覚と共に現在取り組んでいるのが、ショパンの夜想曲とマズルカ【op.55・56】、そしてリストの【孤独の中の神の祝福=Bénédiction de dieu dans la solitude】です。
 特に、リストのBénédictionは、長年思いを寄せていた曲であり、いつかこの曲を弾くためにピアノを弾き続けてきたような曲なので、取り組めていることを大変嬉しく思っています。
 あと、、、そうだ。四月の末に受けるコンクールの為の課題曲もさらっております。おそらく、このコンクールの為に書き下ろされた新作なので、音源もなく、曲想をつかむのに苦労しています。
 先日、友達の前でちょっと弾いたら、オクターブ間違えて譜読みしている場所や、何故か音価を二倍で取っている場所等々があり、「うん。あるよね、ある。」と、慰めてもらった次第であります。

▽さてさて、来週はパリにてピアノの講習会があります。コンサートも予定されているので、しっかりと練習しなてはいけません。
 講習会での様子も、また記したいと思います。記します。
 最近の演奏の様子も近々更新する予定なので、ご笑覧ください。

 それでは、季節の変わり目、人生の変わり目、毎日元気でお過ごしくださいね。






 

2017年2月13日月曜日

イタリア田舎町とフィレンツェ

 今回は、一月の中頃から末にかけてのお話

▼一月の中頃は、少し私用がありましてイタリアに赴いて参りました。
 やっぱりイタリアはいいです。
 ご飯はめちゃ旨だし、お値段もお手頃。
 特に田舎の方に行くと、破格の値段でワインが飲めたり、激うまパスタが食べられたりします。

 私用が終わった後の乗り換えを利用して、イタリアのフィレンツェにも寄ってきました。(二回目)
 目的は、、美しいお皿を購入すること、本場の革製品を購入すること。そして、ウフィッツ美術館へ再度訪問することです。
 自分で言うのも何なのですが、僕は"皿道楽"で、いいお皿や焼物には目がない。必要なお皿しか買っていないつもりでも、日が経つと共に枚数が増えていってしまいます。

 今回購入したのは、中くらいのお皿一枚と、小さな小皿を三枚。(セラミック陶器)
 実はお店に、とても奇麗な大皿が置いてあって、欲しいなぁと思いつつも、今回の目的とは違うので、泣く泣く断念をしたのでありました。それでも上記のお皿を買っているのだから、何をいわんやですね。
 
 革製品のお目当ては、先日無くしてしまった手袋を。
 本場の革製品だと思い、ワクワクしながらお店を覗いていたのですが、品質はピンキリですね。
 露店の数なども含めると、お店の数は非常に多いので、どのお店が良いのかというのは非常に難しいところではあります。
 こういう時は、現地の方に聞くのが一番。
 僕は、セラミック陶器のお店の方に良いお店を教えてもらい、迷わずに良い買い物をすることが出来ました。

 そして二度目のウフィッツ美術館へ。
 前回初めて訪問した際は、無謀にも閉館まで一時間程度の時間しかなく、まさに飛び込みで重要な作品を見る事しかできなかったのでした。
 今回はその反省を含め、たっぷり三時間の幅を持たせての見学。なので入館した際には、
「んーーもしかしたら時間余っちゃうかな。三時間もいられないかも」と思っていたのですが、結局のところ、三時間なんて瞬く間に過ぎ去ってしまい、最後のお土産コーナーの時間がなくなってしまいました。

 さて、ウフィッツ美術館を一瞥したところ、1500年前後の絵画を多く所蔵しているようです。だから、ルネッサンス絵画に当たるのかな?ちょっとそこらへんの知識はあいまいですが。
 著名なところだと、ボッティチェリの≪ヴィーナスの誕生≫や、≪プリマヴェーラ≫などを拝観することができます。

 個人的に僕が気に入ったのは、Filippo Lippi(1406-1469)の描いた≪Otto Altarpiece≫が気に入りました。(邦題は。。。)
 彼の描く絵画は、まるで絵画の中に入り込めるような錯覚があり、絵画との不思議な一体感を味わえる作品でした。




 

  

2017年1月5日木曜日

新年あけましておめでとうございます 二,六七七

 旧年も静かにゆき去り、また、新しい年を迎えることが出来ました。
 みなさまはどのような新年を迎えられましたでしょうか?
 さぁ、今年も一年、来年まで頑張りましょう!! わはは

▼さて、今年の年越しは、最近知り合った友人のお宅へと伺い、4人の方々と共に過ごしました。そのうちのお二方は、ヨーロッパ政治を学ばれた方で、もうお一方は工学を専攻されている方なのですが、かくかくしかじか各種ア・ラ・カルトな話題が尽きずに、なんとも楽しい年越しでありました。

 特に現代政治の話題では、侃々諤々の大議論。
 夜が更け、朝になるまで、現在進行形で壊れ行く世界について話し合いました。
 興味深いのは、これだけお互いに疑問をぶつけあったり、主張をしているにも関わらず、まったく不愉快な気持ちにならないことで、むしろ爽やかな気持ちになりました。
 僕が思うに、互いが互いに相手の話へと耳を傾け、あざ笑うような事は一切せずに、目を覗き込んで、真剣に向き合ったからではないかなぁ。と、思っています。
 こういう人間関係が、僕は一番好きです。

 心強かったのは、政治学専攻の友達と議論をするのは当然として、そこにキチンと工学専攻の方が参加していたことです。
 ちょっと話はずれるようで、ずれないのですが、時たま友達から「尾関君は政治が好きだね」と言われます。僕はこれに、とてつもない違和感を感じていて。。。僕は「好き」で政治に関心を寄せている訳ではないんですね。

 「政治」って、難しそうに見えて実はそうじゃなくて、単に、僕たちが生活していく上でのルールや約束事を決めているだけの話なんです。
 「外交」だって、僕たちの利益が損なわれないように、お互いの利害を調整したりしているだけ。
 すべからく「僕たちのこと」を決めているのに無関心ではいられないと思うのですが、、、いかがなのでしょう。

 そして特に、音楽家などが表現をするためには、自らに対して自覚的である必要が大きいと思っています。自らとは、すなわち文化であり、国であり、世界なんではないでしょうか。

 例えば世界では、テロの脅威が増え、紛争が多発し、貧困がはびこっています。
 これに深く思いを致さないで、「祈り」の表現であったり、「音楽家の使命」であったりが生まれてくるのでしょうか。
 例えば祖国に対する認識が薄い日本人が、西洋のクラシック音楽を演奏する意味があるのでしょうか。

 世界のすべては所詮、人間の成すことで、それは個の中にも還元されます。
 だからこそ音楽家は、自覚的であるためにも、政治について少なからず思いを致す必要があると考えています。

 、、、、、、と、
 やはり政治になると熱くなってきてしまいますね。

 その他お正月は、音楽友達のお宅にも伺い、お節料理を頂きました。
 関西風の御雑煮や昆布巻きなどを頂き、日本料理の奥深さを知り、ヒレ酒で至福の余韻を楽しみました。ありがとう。

〆今年は個人的にも、世界的にも、必然的な変化の年となります。
 この変化を楽しめるように、過ごしていきましょう。