舞台上では【やりたい音楽を自由にやる】として、それによって本番での不安は解消されるとしました。
今回は、本番に入る為のルーティーンについてを記します。
【本番前の準備】
本番直前に舞台上のピアノを触れる場合は、まず鍵盤の感触や跳ね返りを確かめ、ハンマーの挙動を確認し、そしてホールの一番後ろの席を意識した響きをなんとなく感じます。ここで、その日弾く曲の響きのイメージを作ります。
別室で練習できる場合も多々ありますが、この時には譜面を置いて、やりたい音楽の確認をするのがよいでしょう。
僕は、本番まで一時間前を切れば、ピアノに触れないようにしています。ピアノに触っていると、その日の本番に対するパワーが抜け出て行ってしまうと感じるためです。
本番前は緊張します。沢山の演奏者を見てきましたが、ほぼ例外なく、すべての人が特別な状態にあります。そして例えば、その緊張によって体が強張ってしまうと、湧き出てくる音楽を筋肉がブロックしてしまう場合があります。
したがって本番前は"軽いストレッチ"で体の強張りをほぐしましょう。
僕が行うようにしているのは、腕を前へグゥッと数秒伸ばし、そして筋肉が緩んでいくのを感じるストレッチと、脇の下の強張りをほぐす軽いマッサージです。そして、鎖骨の間にある頚窩(ケイカ)という部分を開くイメージを持ちます。こうすると呼吸が少し楽になって前向きな気持ちになるんです。
もう一つは、椅子の上に正しく座って、脚を地面から離し、お腹に力を入れて支える、体幹トレーニングを行います。お腹に力を入れることによって、呼吸を楽にする事もできますし、それに伴って上体の緊張が解けるのを感じる事ができます。
そして譜面を読み直しながら、自分の頭の中で理想の音楽をイメージします。
本番は、本番の瞬間のみに非ずして、舞台に上がる前から既に本番であると思いましょう。譜面を読みながら理想の音楽をイメージすることも、本番の一部なのです。
舞台に上がった時のお辞儀の仕方も考えておきましょう。いつものやり方があれば、それが本番に入る一つの良いルーティーンとなります。
椅子の高さは非常に大切なので、一切の妥協なく設定するべきです。
さて、演奏にとりかかるまでは一応これで完了です。湧き出る力を感じながら演奏に入りましょう。
演奏の始まり・始めは、鍵盤を押し下げる感触をよく感じ、また、ハンマーと弦との関係を感じるのがよいと思います。指先の感触は心に安心感を与えてくれ、勇気を与えてくれます。普段から出したい音を明確にイメージしたうえで練習をしていれば、演奏開始後、それとほぼ同時に、もしくは少しずつでも、演奏に自然と溶け込み音楽を奏でる状態に入っています。
それでは具体的に、普段の練習では何をするべきなのか。
もう何度も記しましたが「やりたい音楽」を引き出す事が、普段の練習ですべき一番重要な事柄です。
次回は、練習の段階で為すべきことについて記します。
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